霧の旗

監督:山田洋次

松本清張のサスペンスだが、これはサスペンスの皮を被った悪女映画だ。白黒映像が美しく、内容も古さを感じさせない一級品であり、人情系の映画のイメージがある山田洋次だが、こんな復讐譚も撮れるとは流石である。事件の真犯人が他にいるようにほのめかしつつ、映画は犯人探しをしないで復讐というか悪女映画にしてしまう意表突く展開。そして前半の依頼人と弁護士の立場が後半で立場が逆転するところも面白い。ただこの主人公のお門違いな復讐先には全く共感できないが、この悪女を倍賞千恵子が熱演。また滝沢修の演技も素晴らしい。この弁護士に悪い所は何一つないのにね。。。ああ逆恨みは恐ろしい。