★★★1/2

不良姐御伝 猪の鹿お蝶

監督:鈴木則文 傑作。ただのイロモノ映画だと思っていたらとんでもない傑作だった。「キルビル」のオマージュらしいが、確かに影響が随所に見られた。つーかこんなの観てるタランティーノ恐るべし。復讐物だが話はとてもよく出来ている。東洋と西洋の融合や…

鬼婆

監督:新藤兼人 いやあ凄い。なんかむき出しの映画だった。ほぼ3人だけの映画だけど、そのパワーが原始的でそれでいて話も練られている。モノクロの映像と草原に覆われた島での人間の欲のぶつかり合い。乙羽信子が鬼婆だった。普通に裸でうろついている。佐…

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン えええまさかの二部作。。。スパイダーバースシリーズ第2弾。前作は正直普通だった。内容もあまり覚えてない。しかしこれは凄かった。中盤まではありきたりな話でこれもあ…

監督:岡本喜八 いやあこれは凄い。面白い。やっぱりいいねえ時代劇にモノクロは。編集もびっくりするぐらい巧い。小難しくせずに結構分かりやすくてよかった。スパイ探しからの親友殺しと組織の裏切りからの桜田門の死闘。そこで判明する出生の秘密とてんこ…

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man

監督:神山健治 TVアニメを総集したOVA。TVアニメ版の方は観たことあるが、このエピソード好きなので久しぶりに観ることに。うんやっぱり好きだわあこのエピ。あの芸者ロボットや笑い男マークが素晴らしい。このマークのデザインが衝撃的だし、このマークが…

二・二六事件 脱出

監督:小林恒夫 226事件にこんな裏話があったなんて知らなかった。クーデターが起こり首相官邸が占拠され首相が殺害されたと思いきや、偽者が殺害され本物の首相は女中部屋の押し入れに隠れる。その首相救出作戦を映画化。こんな面白ネタがあったとは。ちょ…

モリコーネ 映画が恋した音楽家

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 個人的に映画音楽の神様はジョン・ウィリアムズとエンニオ・モリコーネである。いやあとても良かった。モリコーネの足跡は映画の歴史とも言えるぐらい濃厚であった。全く退屈しなかったのは、彼の素晴らしい音楽と映像の相乗…

裁かるゝジャンヌ

監督:カール・テオドール・ドライエル フランスの名作サイレント映画。ようやく観る。なるほどこれは凄い。1928年の映画なのになんだこの画質は。モノクロが美しい。ジャンヌ・ダルク裁判をネチネチとやる。もう結果ありきなんだろう。彼女は死ぬ運命に…

PERFECT DAYS

監督:ヴィム・ヴェンダース 東京便所物語。これが東京。東京の朝と夜。高速道路、スカイツリーとああ東京だなあとしみじみした。この感覚は日本人にしか分からないのではないか。何気ない中年の日常。大きなことは何も起きない。それなのに年末の映画館で何…

ゴジラ-1.0

監督:山崎貴 正直不満が多い。まずリアリティがない。リアリティというのは内容どうこうでなく、戦後の雰囲気を感じなかった。現代劇のようだった。街の空気や言葉使いなど戦後ではなかった。それと神木がミスキャストに思えた。こんなに下手だったっけと思…

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

監督:マーティン・スコセッシ なるほどスコセッシが好きそうな題材だ。西部劇の皮を被ったギャング映画。舞台を変えた「グッドフェローズ」。これが白人の歴史である。後からやってきて、ルールを作って、気に入らない連中は消していく。約3時間半の作品だ…

RRR

監督:S・S・ラージャマウリ マンガのようなストーリー、アニメのようなアクション、このベタな展開が素晴らしい。潜入捜査的だったり、友情パワーだったりとどっかで見たことあるようなストーリーだが、とにかく力技でねじ伏せる。監督がロマンチストなん…

四畳半タイムマシンブルース

監督:夏目真悟 なんかリモコンに既視感あるなあと思ったら、「サマータイムマシン・ブルース」を四畳半に移植したのね。いやあこれはすごい。すべてのシーンが伏線になっている。「サマー~」も面白かったけど、適度に忘れているので、新鮮な気持ちで楽しめ…

ラーヤと龍の王国

監督:ドン・ホール、カルロス・ロペス・エストラーダ あまり期待してなかった分、大きく上回ってきた。2時間以内の内容で、しっかり冒険を味わわせてもらえた。日本のアニメの影響というか、いろんなアニメを寄せ集めたような気がしないでもないが、それが…

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

監督:ジェームズ・キャメロン はっきり言って前作ほぼ忘れてるので、序盤は全然付いていけなくて困った。ただ今回は海がメインということで、舞台が海に移ったぐらいから大分楽しめるようになった。3時間は長く、どっと疲れたが、それでもこれだけの物を作…

クルエラ

監督:クレイグ・ギレスピー スピンオフぐらいの認識しかなく、正直あまり期待してなかったのだが、これが極上のエンターテイメントだった。いやあ凄くよく出来ていてびっくり。「コンフィデンスマンJP」の上位互換って感じだった。ストーリーの巧みさ、選曲…

NOPE/ノープ

監督:ジョーダン・ピール 正直ジョーダン・ピールはあまり好きではない。ただいつもの差別ガーじゃなく、単純なSFに振り切ったのがよかった。最初はシャマランかよと思ったが、似ているけどギリギリのとこで踏みとどまっている気がする。よくあるSFかもし…

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

監督:アーロン・ホーヴァス、マイケル・ジェレニック 騙された。米のレビューが微妙だったから期待してなかったけど、出来が良くてびっくりした。ファミコン世代だからかなあ。いやそれを差し引いても滅茶苦茶楽しかった。終始ニヤけて観てた。キャラの可愛…

さらば荒野

監督:ドン・メドフォード 予想外の傑作。人妻を誘拐して寝取ったら、いつしか仲良くなってしまったと普通なら誘拐犯が悪者で、取られた夫が正義みたいな感じになるのが真っ当な西部劇なのだが、これはそうはならないのがミソ。妻を取り返しに来るジーン・ハ…

マイスモールランド

監督:川和田恵真 この映画のアイデアは恐らく「東京クルド」ではないか。多分あのドキュメンタリーを参考にしているのだろう。日本でのクルド人の生活、入国管理局の実態などまさに「東京クルド」そのものであった。あれを見てるから、この映画にもすんなり…

BLUE GIANT

監督:立川譲 素晴らしい。引き込まれた。ジャズの力というかこれが音楽の力。原作は知らないが、これだけジャズに向き合い、制作スタッフの本気が注ぎ込まれていた。演奏シーンの迫力が凄まじい。あらゆる表現方法で音と視覚でトリップさせる。CGに多少の違…

イニシェリン島の精霊

監督:マーティン・マクドナー 不思議な映画だ。二人の男の仲の終わりを寓話的に描く。一体何が起こっているのかさっぱりなぐらいブレンダン・グリーソンの行動が不可解。そこに大きな理由があるのかと思ったけど、特になし。退屈だからというだけ。これは世…

ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~

監督:信友直子 「ぼけますから、よろしくお願いします。」の続編。いやあこのドキュメンタリー好き。前作も良かったけど、改めて監督の両親が全く他人なのに愛おしい気持ちになった。自分の両親のこと、老い、ぼけ、将来のこととかいろんなことを考えさせら…

偶然と想像

監督:濱口竜介 面白い会話劇。そして結構濃密。3つのオムニバスだが、みんなレベルが高いもので、普通ひとつぐらい失敗がありそうだが、全部よかった。偶然が引き起こすトラブルなり運命なりを、会話の応酬とちょっとしたツイストで引き込む。1話目は終盤…

すずめの戸締まり

監督:新海誠 日本人にしか撮れない映画。地震は地下のみみずが起こしているという発想は中々面白いと思った。災害をこういう形でエンターテイメントに落とし込むのは新海流だが、今回は直球というか東日本大震災という現実と向き合い、かなり挑戦的であった…

JUNK HEAD

監督:堀貴秀 これひとりで作ったとか恐ろしい才能。この世界観、背景などの美術、キャラクターデザイン、どれをとっても一人で作れるような代物ではない。おまけにストップモーション・アニメなので、根気のいる作業。7年かけたそうだが、この内容の濃さを…

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

総監督:庵野秀明 カオス。壮大な親子喧嘩。前半の日常系は好き。もはや理解不能な世界観。こじらせた庵野秀明の妄想を具現化する、こんな映画を作ることが凄い。よく言えば哲学的、悪くいえば中二病。でもなんか凄いもん観たという衝撃。主人公は庵野自身で…

コーダ あいのうた

監督:シアン・ヘダー フランス映画「エール!」のリメイク。昔観たけどあんまり覚えてない。。。優しい映画だ。そして希望を与えてくれるのかもしれない。健常者ですら生きるのが難しい時代。自分たちの悩みなんてちっぽけと思わせる。両親と兄は聾唖で主人…

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

監督:ジョン・ワッツ スパイダーマン同窓会。いやあこの展開は予想外であった。ヒーロー物は長くやると当然主役は変わる。そこを逆手にとったような脚本が見事。パラレルワールドというネタをやるにしても、そのメンバーを集めるのは苦労だったろう。まさか…

ドライブ・マイ・カー

監督:濱口竜介 チェーホフは分からないが、堅苦しさはなかった。劇中劇とシンクロするような構成も巧い。終始淡々とした語り口なのに、3時間退屈させなかったのは会話の力なのかなあ。舞台や多言語という取っ付きにくい要素が、なぜか心地よかった。役者が…