十年 Ten Years Japan

監督:早川千絵、木下雄介、津野愛、藤村明世、石川慶

「PLAN75」「いたずら同盟」「DATA」「その空気は見えない」「美しい国」の5つのオムニバス。これは各国でやってる十年プロジェクトの日本版。10年後の日本をテーマにそれぞれの監督がいろんな切り口で見せる。まあ試みとしては悪くないが、やや誇張というか大袈裟に煽ってるというか。高齢化やAI、原発、徴兵と分かりやすく問題を落とし込んでるが、面白いかというと普通。「いたずら~」は「PSYCHO-PASS」だな。一番の好みは杉咲花の「DATA」かな。

散歩する霊柩車

監督:佐藤肇

犯罪ブラックコメディの快作。まず西村晃がいい。脇役専門の西村が主役。その小悪党ぶりがぴったりだ。騙し騙されの狂言自殺が巡り巡って、最終的には全員死ぬとか面白すぎる。脚本がとても練られているし、モノクロの映像も味あり。西村最後の死に様も壮絶だ。この監督「ゴケミドロ」の人か。面白いわけだ。こんな愉快なコメディが60年代にあったなんて、やっぱり昔の日本映画は侮れない。

レイズ・ザ・タイタニック

監督:ジェリー・ジェームソン

タイトル通りタイタニックを引き揚げろって映画。一見ロマンがありそうな気もするが、思いの外淡白だった。もっとわくわくしたかったんだけどなあ。スケール大きそうで、そうでもなかった残念作。

かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-

監督:吉田康弘

“RAILWAYS”シリーズの第3弾。こういうご当地映画は好きだし、このシリーズの実直さは、いかにも日本映画って感じで嫌いじゃない。地方の鉄道はどこか郷愁を思わせるものがあり、そこにドラマが生まれる。この家族の繋がりが変わっている。主人公の未亡人とその亡き旦那の父、そして亡き旦那の元嫁の息子という形成での生活。さらに運転士になるわけだが、その上司が運転士の義父といった感じ。複雑に絡み合った糸が次第に家族になっていく話。國村隼がありきたりな頑固親父っていうパターンじゃないのがよかった。あの食堂車は乗ってみたいなあ。。。

RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ

監督:蔵方政俊

“RAILWAYS”シリーズの第2弾。定年や老後、第二の人生、自分はまだまだ先だけど、そういういずれ訪れる人生の終盤戦を日本映画的にしっとり描く。ベタで普通かなと思っていたら、予想外の展開を見せた。電話で離婚を告げるシーン。余貴美子の見せる一瞬のとまどい、あれがよかった。ラストランも感動的だった。電車は終点が来たら、また新たに始まる。これは夫婦の再生の物語でもある。

暗殺のオペラ

監督:ベルナルド・ベルトルッチ

素晴らしい。後期のつまらない作品よりよっぽど才気がほとばしっている。特に横移動のカメラがいい。英雄的な父親の死を解明するために、イタリアの田舎に帰った青年が見つけた真実は。回想を織り交ぜ、どこかこの迷宮のような村に彷徨うような感覚がいい。真相もまた素晴らしい。村全体がオペラであり、全ては英雄に仕立てるための芝居であった。巧妙で幻想的な逸品。