監督：クリストファー・ノーラン
日本人としてちょっと複雑な感情にはなった。まず当時は戦争状態であること。敵国のことなど憎い感情があるわけで、原爆を落とすことにそれほど抵抗はなかったのではないか。後から罪悪感なり倫理感なりで後悔するにしても。だから後付けの悩んだみたいな描写は白々しく思った。でも果たしてオッペンハイマーは悪なのか。彼がいなくても原爆は作られたし落とされただろう。作った人間が悪いのか使った人間が悪いのか。人間は火というものに原始的に引き付けられる。実験の爆発時の恍惚感みたいなものが火への追及を止めない止められない人間の姿を表している。飛躍してＡＩの恐怖を感じた。テクノロジーの暴走が行きつく先は人類の終わりとそこまで妄想してしまった。さて映画自体だがはっきり言って長い。特に前半。深掘りするには必要な長さかもしれないが、それを切るのが監督の仕事。ノーランの剛腕ぶりは健在で、オーケストラをガンガン鳴り響かせねじ伏せる。言われる程混乱はしなかったが理解できたとは思わない。トルーマンがゲイリー・オールドマンと知りびっくり。日本人はいろいろと思う部分はあるだろう。そこも踏まえて観るべき映画としてちょいおまけ。
