事件

監督:野村芳太郎

野村芳太郎が監督だからか、松本清張っぽい。なかなかよく出来た裁判映画で、これだけの裁判映画が日本にあったことに驚いた。また、これぞ昭和といった風景、音楽、演出、演技が古臭く、そこがまた良さでもある。回想の使い方も上手いし、丹波哲郎芦田伸介のベテランの凄みや、何と言っても松坂慶子の色気にやられた。三角関係のもつれという事件としての小ささや、姉妹の愛憎にしては姉妹同士のぶつかり合いが無かったり、また終盤に意外性がほしかったなど、ややインパクトに欠ける部分はあるが、昭和の力作であることは間違いない。