陰獣

監督:バーベット・シュローダー

これ面白い。ヨーロッパの変な日本映画と思いきや、日本描写は意外とまともで、怪しさが独特な味へと昇華していて、まさに拾い物である。原作は江戸川乱歩で、乱歩らしさというのはよく分からないが、日本という異空間に迷い込んだフランス人の混乱や退廃的ムードは良く表現されていた。ブノワ・マジメルも好演。監督が日本人ならこういう映像は撮れなかっただろう。冒頭の劇中劇も中々面白い導入部であったし、バーベット・シュローダーの日本文化への敬意を感じた。乱歩というと難解というイメージがあったが、しっかりとドラマとしても成立しており、この映画の妖しい魅力に結構ハマってしまった。