マンダレイ

監督:ラース・フォン・トリアー

舞台劇をそのまま映画化したようなシンプルなセットは「ドッグヴィル」と同じやり方。またそれかと思ったが、そのうち慣れてくるから不思議。北欧のオリバー・ストーンと言いたくなるラース・フォン・トリアーの挑発は相変わらずで、物議を醸すのを喜んでいる監督の顔が目に浮かびそうだ。黒人の奴隷制に焦点を定めたその内容は、いろいろと深読みできるような仕掛けが多く含んでいる。最初は主人公の必要以上の介入に白人の思いあがりを感じたが、この村の正体が明かされると、征服者から囚われの身になるという逆転の構成。技巧的な話の作りに感心はするが、トリアーに煽られているだけという気がしないでもない。最後にブライス・ダラス・ハワードは親の七光でない、才能ある女優だと素直に思った。