東京物語

監督:小津安二郎

原節子を偲んで。観る機会は何度もあったのだが、ずっと観なかった作品。ようやく観る。日本映画名作中の名作。その名に恥じない素晴らしい作品でした。親と子、生と死など普遍的テーマを味わい深いものに高めた小津安二郎の静かで力強い逸品。親子関係に世知辛さを感じるが、歳を取っていけばそういうものなのかな。みんなそうなるとか結構鋭い視点で人間の本質みたいなものを突いている。役者が皆いい。笠智衆の佇まい、東山千栄子の自然さ、原節子の気品、杉村春子の絶品な台詞回し等々。終盤の笠智衆原節子のやりとりにややくどさを感じたが、まあ取るに足らないもの。印象深いショットの数々。中でもジャケットにもなっている笠と原の夜明けを二人で見つめるとこがやっぱりいい。冒頭と終盤の汽車の映像もなんか頭にこびりついている。