大人の見る絵本 生れてはみたけれど

監督:小津安二郎

小津安二郎サイレント映画。サイレントも撮ってたんだね。小津の人間観察力に恐れ入りました。いやーしかし何が凄いんだろうこの映画。1932年の日本の街並み、庶民の生活、子供たちのけんか、親子関係、こんな些細なことで感動できてしまった。そしてまさか小津のサイレント映画で声をあげて笑うとは想像すらしてなかった。子供たちのあの忍者ごっこ?みたいな妙な遊びが最高。笑いの出し方というか間の取り方が上手いので、やるたんびに爆笑してしまった。親子の描写も秀逸だ。親の弱い姿は見たくないという子供心もよくわかるし、親にしてみれば大人社会の上下関係は子供にはまだ理解できない。この辺の親の居た堪れなさもよく伝わった。こうやって子供たちは大人の世界を知る。子供たちも最初よりも随分とたくましくなった。いつの日かまた改めて観たい、そう思った。