わが青春に悔なし

監督:黒澤明

黒澤戦後最初の作品。戦前から戦中にかけての激動の時代を背景に三人の男女の愛と波乱の人生を描く。背景に学生運動やスパイ事件などあるが、それよりも原節子の時代を駆け抜けた生き様を観る映画といったほうがいいかも。お嬢様から自立し、野毛の妻となり、野毛死後に農家にいって自分の居場所を見つけるというもの。その行動力にやや不可解さを感じるも、男性社会の時代で、何か社会の役に立ちたいと思った当時の女性像を表したかったのかな。後半の展開を考えると、冒頭の三人の関係性の描き方に、ちょっと違和感を感じた。