有りがたうさん

監督:清水宏

気持ちのいい映画だ。ほのぼのとした空気が全体を包み、当時の日本の生活、風習、人間模様がバスの中につまっている。売られる娘や朝鮮労働者など時代を感じさせる社会背景もあるが、みんな一生懸命生きている。上原謙もさわやかな青年を好演。終始後ろに座っていた桑野通子の姉御っぷりもよい。撮影も通行人がいて、その後追い越した映像に切り替わるという古めかしい撮影法だが、今こんな撮影はしないので逆に新鮮さがあった。清水宏の作品は初めてだが、ちょっと興味が沸いてきた。