トスカーナの贋作

監督:アッバス・キアロスタミ

まるで贋作についてのキアロスタミの講義を聞いているようだ。贋作というテーマが作家と中年女性の関係に置き換えられていく構成。二人の関係が他人から急に夫婦へと変わり出す、不思議な会話劇。偽りの夫婦なのか結婚15年目の夫婦なのか、その曖昧さが観る者の想像力を掻き立てる。作家役はオペラ歌手のウィリアム・シメルという人だそうで、ダンディーな魅力があり、プロの役者もびっくりの演技でした。