ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜

監督:根岸吉太郎

これは予想以上に良かった。ダメ夫と妻のだらだらした馴れ合いかと思ったが、夫の愛人、妻の元カレ、妻に思いを寄せる男などいろいろな人間関係を絡めた結果、面白いものに仕上がっている。女や金にだらしない夫に献身的な妻と、この夫婦には理解しがたいものはあるが、夫婦とは様々な形があり、恐らく作家という地位とだらしない人間性というギャップに妻は惹かれるものがあったのだろう(もちろん終戦後という時代もあるが)。松たか子は「告白」なんかよりも断然良かったし、浅野忠信の放蕩具合も絶妙な上手さを見せていた。