ノルウェイの森

監督:トラン・アン・ユン

原作は読んでないし、村上春樹の小説も読んだことないので、どの辺が春樹的なのかは分からないが、学生運動があった頃のもんもんとした雰囲気、そして映像の美しさと音楽がトラン・アン・ユンの美意識と重なり、大変面白く観れた。外国人特有の変な日本がないのも良し。台詞の不自然さはあるが、昭和という時代を考えればこれはこれで問題ない。松山ケンイチも健闘。そして問題の菊地凛子だが、予想通りあまりよろしくない。終わってみればそれなりにこなしたと言えるが、前半はひやひやものである。しかしそれをカバーしたともいえるのが水原希子の存在。普通の女優じゃなかったからこそ、この作品に独特の空気を持ち込み、彼女の幼さと妖艶さがこの映画を魅力的なものにしたといってもいい。