ラスト、コーション

監督:アン・リー

アン・リーの卓越した演出力が光る。当時セックス描写が話題になったが、正直騒ぐほどでもないし、そんなことよりも中国を舞台にしたスパイ映画としての面白さを十分堪能した。相手の内に入ろうとする心理的駆け引きと、次第にタン・ウェイの魅力に溺れていくトニー・レオンの男の性を見事に映し出している。サスペンスとしての緊張感は、もう少し欲しかったところだが、その分、幼さと妖艶さが同居するタン・ウェイの体当たり演技が、映画の心臓であり、一層魅力的なものへの押し上げている。最後まで意思の強さをみせてほしかったが、ストックホルム症候群にかかってしまったか。。。