ヨコハマメリー

監督:中村高寛

横浜の街で見かける白塗りの老婆。実際見かけたら気味の悪い婆さんと思うかもしれないが、この娼婦がどういう人生を送ったかを追ったドキュメンタリー。この映画は娼婦のドキュメンタリーであると同時に、戦後横浜の歴史とそこで生きてきた人達の記録でもある。伊勢佐木町の寂れた雰囲気がどこか哀愁を感じさせるものがあった。彼女の歴史はそのまま伊勢佐木町の歴史でもあったのだから。老人になっても仮面のような白塗りをする姿に、彼女なりのプライドやどこか”ハマのメリー”を演じている部分があったのだろう。ラスト、彼女はまるで”ハマのメリー”を演じ終えたようで、全て脱ぎ捨てた晴れやかな笑顔であった。