マンデラの名もなき看守

監督:ビレ・アウグスト

ネルソン・マンデラの歴史を真面目に撮っても面白くないので、看守の目を通してマンデラという人物に迫るというアプローチは、退屈になりがちな伝記映画に工夫が見られる。南アフリカアパルトヘイトの時代、看守の妻がマンデラをテロリストといっていたのが、後半いい人かもみたいに変化したところに、時代の変化や価値観の相違というものがちゃんと映し出していたと思う。役者ではデニス・ヘイスバート(「24」でも大統領)が大きな佇まいで、マンデラのカリスマ性を存分に出し素晴らしい演技。看守がマンデラに傾倒していくのも説得力を感じた。