やさしくキスをして

監督:ケン・ローチ

中盤までの平凡な展開に、ケン・ローチにしては普通だなあと思ったが、そこはケン・ローチ、単純なラブストーリーでは終わらない。アイルランド女性とイスラム系の男性との恋愛話だが、宗教や人種の違いから、二人に次々と困難が押し寄せる。好きになった相手が人種が違うというだけで、当人以外の周りの人間にまで影響を及ぼし、家族や職までもが失われる。何とも理不尽な現実だが、宗教や人種の違いという問題は本当に根深いものだというのを、まざまざと見せつけられた。ケン・ローチの映画なので、作り物めいたものは無く、リアルな切実さが余計倍増されていて、ラブストーリーだが見応えのあるものになっている。