火の鳥 宇宙編

監督:川尻善昭

いやーこれ面白いわ。素晴らしいSFアニメ。やっぱり手塚治虫って凄いんだなと今更言ってみる。ここ最近続けて火の鳥を観てきたが一番の出来。とにかく話が面白い。いきなりミイラ化して自殺した乗組員という謎を残し、四人が個別で脱出。そして死んだ牧村への回想と後ろから追ってくるポッドの謎。それぞれの人物との関係性、火の鳥の存在、追ってくるポッドの緊張感とわくわくさせる展開。そして流刑惑星に到着し、すべてが明かされる驚愕真実。誰が殺したのかというミステリーと思いきや、全く別次元の話になるけど、これが火の鳥のテーマである運命や輪廻転生、人間の業、人間の二面性などが盛り込まれ、深いドラマに仕上がった。到着後も嫉妬などの愛憎劇が続き、一筋縄では終わらない。ナナの選択もショッキング。鳥人間のキャラクター造形にもグロテスクさを感じるし、この物語にはどこか全体的に気持ち悪さを感じる。そこがまたいいんだけどね。とにかく、こんな凄いアニメがあったことに驚き、これはぜひ実写化してほしいなあ。