砂の女

監督:勅使河原宏

原作・脚本、安部公房。なので難解なのかと不安だったが、これはなかなか面白く変な映画だった。当時のシチュエーションスリラーといったほうがいいのかな。アリ地獄のように砂の穴の中にある家から抜け出せなくなった男の話。社会から隔離され、砂で覆われた世界に置かれ困惑するも次第に順応していく人間の底力。気味悪いババア(失礼)というイメージが強い岸田今日子に不覚にもエロスを感じるとは。この不条理感はクセになる。あれほど逃げたかったのに戻ってくるところに、男は砂の生活の中で新たな生き甲斐を見つけたらしい。