沈まぬ太陽

監督:若松節朗

戦後日本がここまで成長してこれたのは、こういうサラリーマンが沢山いたからなんだろうなあと、しみじみ感じてしまった。企業の犬になった男と、それを拒んだ男の対比もいい。世界各国をたらい回しにされ、国内最大の飛行機事故まで体験しても、最後まで会社に残った主人公の意地こそ、今は無くなりつつあるニッポンのサラリーマンの姿ではないか。渡辺謙は堂々と主役を演じ切り、三浦友和はもはや山口百恵の旦那とは呼ばせないぐらい貫録がついた。自分の悩みなど、なんとちっぽけなものかと思わせる、ラストのアフリカの風景が美しく、雄弁に語りかける大地に言葉などいらない。200分もの長編だが、退屈させなかったのは、大いに評価したい。