トゥルー・ヌーン

監督:ノシール・サイード

なんと18年ぶりに制作されたというタジキスタン映画。普段めったに観ることの無いタジキスタン映画だが、これは素晴らしい映画だ。タジキスタンの山間の村の牧歌的なのどかな映画と思いきや、次第に政治的な影が忍び寄る。村に突如国境線が引かれる。国境や村が突然政治の犠牲になるというところに「シリアの花嫁」(これも傑作)に近いものを感じた。果たして国境によって離ればなれになった恋人たちは、無事に婚礼を済ますことができるのか。ラストは緊張感もあり、結末は衝撃的。存在さえ知らずに埋もれるには勿体ない力作であった。