ピアニスト

監督:ミヒャエル・ハネケ

愛の物語といえば聞こえはいいが、ミヒャエル・ハネケなので愛は愛でも普通の愛ではない。前半はおとなしく、愛のない孤独な女性を際立てたさびしい女の映画であったが、除々にハネケの変態性が顔を出してきて、変な性癖をもった女という違った様相を見せ始める。イザベル・ユペールもこの変な女を怪演していて、演じていていろいろたいへんだっただろうな。彼女を苦しめていたのは実は母親だったのではないか。いちいち干渉してくる母親との生活が実は一番奇妙で、孤独感を増幅させ、ついにはぷっつんしてしまったのではないか。