ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

監督:ポール・トーマス・アンダーソン

石油でアメリカンドリームを実現した山師の人生を描いた一大叙事詩。どちらかというと軽量級な映画が多かったポール・トーマス・アンダーソンだが、こんな重量級の映画も撮れるなんて改めてこの監督の懐の深さを感じた。また長い映画だが、ダレずに力強い演出で豪腕な一面も見せている。石油掘りの話で終わらせず、そこに牧師を絡ませた所が面白い。そのエキセントリックな牧師を演じたポール・ダノが胡散臭くていい。教会に訪れたダニエル・デイ=ルイスの邪心を取るために、皆の前でひっぱたく。その前にデイ=ルイスに殴られているので、その仕返しとばかりひっぱたきまくる訳だが、その話の作り方が上手いし、この映画でもっとも印象に残ったシーンだ。しかし何と言ってもこの映画はダニエル・デイ=ルイスに尽きる。迫力ある演技もすごいが、それ以上に顔がいい。とてつもなく性格が捻じ曲がった奴を見事に演じきっている。この完成度を見るとアンダーソンも既に巨匠の域に達しているなあ。