雪の轍

監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン

とても長いが見応えはある。長い中にも見入ってしまう瞬間が多い。それだけ緊張感があり、スリリングな会話劇である。とにかく会話の量が半端ない。特に夫婦間のプライドをえぐり取るような会話の応酬が凄く、こっちも精神的に応える。後半の妻の行動に対するイスマイル一家の仕打ちもこれもプライドの問題。厳しい現実とそこに生きる人間の小さな世界で起こる話は、トルコ映画だが、どこにでもある人間の話であり、身につまされる部分が誰にでもあるのかもしれない。しかし主人公のハルク・ビルギナーが滅茶苦茶上手い俳優である。