陸軍中野学校

監督:増村保造

これはなかなかの傑作ではないか。こんな優れたスパイ映画が日本に存在していたなんて驚いた。テンポもいいし、プロットもしっかりしている。恋人がスパイという展開はまあありがちではあるけど、上手く料理している。愛した女を殺すという非情にならなければやっていけない職業。愛と苦悩の間でもがきながらも冷徹にこなす雷蔵はクール。そしてなにより加東大介が素晴らしい。英国人役のE・H・エリックの起用も作品の説得力に大きく貢献している。