華麗なる一族

監督:山本薩夫

TVのキムタク版は見たことあったので内容は知っていた。なのでそれほど面白くないかなと期待してなかったが、これが滅茶苦茶面白かった。なにより3時間半という大長編なのに退屈させなず、グイグイ引っ張っていく濃密な展開には圧巻。銀行合併という縦軸に、高炉建設、政界との癒着などを絡ませた横軸、そしてもう一つ重要なこの”華麗なる一族”万俵家のお家騒動。長男の出生の秘密、愛人の存在、政略結婚など、この一族の栄光と崩壊はまさに日本の高度経済成長の裏側を見た気がした。結局東洋銀行も合併するための布石というなんたる皮肉。役者も皆素晴らしく重厚だった。特に佐分利信が貫録の演技。二谷英明も良かった。キムタク版で万俵大介をやった北大路欣也が、鉄平の弟分で出てたのが時代を感じさせ面白かった。しかし改めて山崎豊子ストーリーテラーぶりには驚く。社会派エンターテインメントの第一人者と言いたくなった。