監督:三隅研次
山崎豊子原作。これは面白い。遺産相続というテーマでこれだけ面白く見せるのは、原作がきっと面白いのだろう。人間の欲深さ、女の嫉妬深さだけでなく、物語としても次から次へと問題が出てくる巧みなストーリー展開。見事。また役者の演技の素晴らしさが、よりこの話を引きつける魅力になっている。流れるような関西弁が心地よい。傲慢な京マチ子が前半は目立っていたが、次第にずる賢い本性が表れ出す大番頭、中村鴈治郎そして叔母の浪花千栄子、このベテラン二人の演技が出色。そして愛人として蔑まれた若尾文子のしたたかな大逆転も痛快。終盤のおいしいとこ全て持ってかれた後の三姉妹の呆然ぶりが、どこか少しかわいそうな気になった。