監督:森谷司郎

オドオドしたモノクロ映像が素晴らしく、怪奇映画のような迫力があった。弁護士が探偵になって、死んだ男の死因が何かを調べるため奔走する。しかしそこにあるのは、国家権力の腐敗と戦争による精神崩壊。そして主人公も次第に死体が腐らないかの一点だけに取り憑かれていく。主役らしい花を感じさせないんだけど、小林桂樹はいい俳優なんだよな。後半の墓を掘り返し、死体の首を切り、電車で運ぶとこは、ホラー風味とスリリングなサスペンスで魅せる。ホルマリン漬けの首や法廷で首人形に包丁で刺すシーンも強烈な印象を残す。傑作です。