ニンゲン合格

監督:黒沢清

病院で10年間昏睡状態だった男が目覚めた話。10年ぶりの社会復帰とか、そのギャップを描くのかと思いきや、どうやらそういったこともあるが、それよりも主人公はまだ夢の中にいるような、ふわふわした世界に生き、自分の人生に投げやりになっているように見えた。どう生きるか、どう家族と向き合うか。いや、もしかしたら、その全てが夢だったのか。話の作りは、意外と練られている。西島秀俊の演技は、意図的かどうか、いつも感情がこもっていない虚無感を感じ、この映画の世界観には、そのどっちつかずな演技はマッチしていたと思う。所々に出てくる、役所広司に引っ張られるシーン。あれにはどういう意味があるんだろうか。