題名のない子守唄

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ

感動路線ばかりではつまらないので、トルナトーレのミステリー挑戦はいい試みだと思うよ。なにやら謎が多い展開で、主人公の過去をフラッシュバックしながら、ある家族に家政婦として入り込もうとする前半の話の転がし方は上手い。主人公の目的が見えないまま、一体何が起こっているんだと興味が沸いたが、終盤はそれほど驚くような展開を用意していなかったため、意外と普通なミステリー程度で終わってしまった。ただ映画を包む重たい空気やヨーロッパ映画の雰囲気は、このミステリーの味となっている。この出来なら今後もトルナトーレにはミステリーを作ってほしいね。