おくりびと

監督:滝田洋二郎

日本の古い文化である納棺師という仕事に戸惑い、周りから理解されない中、次第に自分の仕事に誇りを持ち始める男を本木雅弘が力まず、時に軽妙に好演。自ら企画を持ち込んだだけに、本木の真摯な姿勢やチェロの演奏などその意気込みは十分に伝わった。広末涼子もよかったし、山崎努はいつもの偏屈演技はどうかと思ったが、今回は素晴らしい芝居だった。誰にでもいつかは訪れる死というものに向き合った時、人間は解放され、”許す”という感情が生まれるんだろうね。変に生真面目にせず、ユーモアを利かせたこの映画は、静かだがじわじわと心に沁みるものがあった。