ラースと、その彼女

監督:クレイグ・ギレスピー

一見変なオタク青年が等身大のリアルドールに恋をするという、言ってみればキモイ話な訳だが、そうならなかったのは周囲の理解とこれは一種の心の病気なんだという視点で描いているためだろう。しかし人形に恋をするというのが、あまりに唐突にやってくるので、その理由がイマイチ釈然としない。ラースが本当(人間)の恋に気づき始めたとき、ビアンカ(人形)の存在が次第に薄れていき、自らの手でビアンカを葬ろうとするところに、病気を克服しようとする姿がみえると同時に結局、人形は都合のいい道具でしかないという何か人間のずるさのようなものも感じた。ライアン・ゴズリングはこの手の役は芝居が大袈裟になりがちなのを、とても自然体に演じて好演。