鬼の棲む館

監督:三隅研次

76分と短い原作は谷崎潤一郎の戯曲。主演者はほぼ4人。勝新太郎のパワフルな存在感は相変わらず物凄いが、それよりも新珠三千代の鬼の演技が違った恐さを表現。体を武器に妖艶に迫って、僧侶を煩悩地獄に突き落とす。佐藤慶の悶絶演技もよい。勝新もたじたじであった。山奥で繰り広げられる4人の心理劇は、その閉鎖的な雰囲気が、より観念的な世界へと連れていく。森の移動撮影も室内の暗い撮影も迫力ある画作りであった。