原爆の子

監督:新藤兼人

戦後7年後に製作された、原爆を取り上げた最初の日本映画らしい。原爆の傷痕が、まだまだ残っている広島の風景。かつての教え子に会いに行く訳だが、皆、本人やその家族が原爆の被害に未だに苦しんでいる。再会を楽しみにしていたつもりが、逆に居た堪れない気持ちになってしまう哀しさ。当時の広島の現状を切実に写している。無邪気な子供たちの姿は唯一の救いであった。いつまでも手を振って見送る少年、飛行機の音に不安がよぎるシーン等も印象深い。また、乙羽信子の抑えた演技も良かった。