午後の遺言状

監督:新藤兼人

なんとも大胆な映画だなと思った。裸の女性が出てきたり、老女優たちをババアと呼ばせたりと、この辺は新藤兼人監督だからこそなのだろう。避暑地での、かつての女優仲間との再会と管理人の女性とのある秘密の二部構成。痴呆や老い、生と死を見つめた老人映画。年寄りばかりの映画だが、なぜか楽しかったりする。後半の突然の急展開で見せる杉村春子乙羽信子の口八丁なやりとり。二人の大女優のけんかが楽しくて見応えあった。脱獄囚、木場勝己の演技もかなり大胆。これがオリジナルだもんな。脚本家としての新藤兼人の上手さを見た気がした。そして杉村春子の強さとどこか素っ惚けた円熟の芝居があってこその作品であった。