約束の旅路

監督:ラデュ・ミヘイレアニュ

まず歴史の勉強になった。1984年、エチオピアユダヤ人を救出するという移送作戦“モーセ作戦”というのがあったことを知らなかった。そしてこの映画はいろいろと考えさせられるものがあった。私自身、日本で生まれたから日本人であるというのは簡単だが、ユダヤ人とは一体何なのだ。主人公は生きていくために、ユダヤ人と偽った訳だが、明確なユダヤ人という定義が曖昧なため、イスラエルに渡っても差別を受ける。ユダヤ人なのに黒人なのかという台詞もあり、只でさえ曖昧なユダヤ人という人種に、さらに本当はユダヤ人ではない主人公のアイデンティティが、より複雑なドラマを作り出していた。