ドライブ・マイ・カー

監督:濱口竜介

チェーホフは分からないが、堅苦しさはなかった。劇中劇とシンクロするような構成も巧い。終始淡々とした語り口なのに、3時間退屈させなかったのは会話の力なのかなあ。舞台や多言語という取っ付きにくい要素が、なぜか心地よかった。役者が皆良い。霧島れいかが素晴らしい。サイコな岡田、仏頂面だが独特な個性を放った三浦透子、あと韓国人通訳も日本語が上手でテンポを悪くさせなかった。西島秀俊はうるさくなくて立派に主役を務めた。あと赤のサーブももう一人の主役であった。それと広島のロケ地が美しかった。当初韓国で撮影の予定だったそうだが、広島でよかった。ただ終盤はやや蛇足に思えた。北海道と韓国のシーンは個人的には余計だと思った。