硫黄島

監督:宇野重吉

戦争映画かと思ったら、どっちかというと「戦火の勇気」風なものだった。硫黄島で生き残った男がどういう男だったのかを関係者に聞いて回る。そして浮かび上がる硫黄島での出来事やその男の人間性。証言聞けば聞くほど、この男の正体が分からなくなり、戦争ミステリーとしてかなり楽しめた。今で言うPTSDなのかな。戦争で帰ってきた人間が、元の生活にすんなり戻れる人もいれば、引きずる人もいる。この時代(59年)でそれをミステリーに落とし込み、戦争の悲劇を訴えた宇野重吉の手腕は大したもん。中々の傑作であった。