長屋紳士録

監督:小津安二郎

戦後の日本の風景がここにある。下町の中で、一生懸命生きている日本人の姿が、しみじみと綴られている。貧しくても、そう感じさせない庶民の優しさやプライドが感じられた。この映画は日本版「キッド」といったとこか。嫌々引き取った子供に、いつしか情が湧いてくる。引き取ることを決意したとたん、父親が見つかり何とも言えない感情が湧きおこる。意地悪おばさんだが、その中に母性と優しさを見せる飯田蝶子の演技が素晴らしかった。笠智衆(若い)の歌、くじ引きのずるなど印象的なシーンも多い。