J・エドガー

監督:クリント・イーストウッド

決して悪い出来ではないし音楽、美術、撮影などは相変わらず1級品なのだが、伝記映画としてみたらエドガーフーバーという男の人物像があまりに本人と違いすぎないか。フーバー長官のイメージというと野心家で狡猾で大統領を操る影の権力者というイメージだが、そういったきな臭さが全く描かれていない。これは演出云々よりディカプリオという役者を起用した時点で予想ができたはず。綺麗すぎだし、迫力不足で弱々しい。声は若いし、顔は幼いし、老人メイクも無理があるので、終始違和感ばかりが気になった。この映画だけではフーバー長官の影の部分が伝わらず、いっそのことフーバーに焦点を当てずに、リンドバーグ事件を映画化したほうが面白かったのではないか。