影の車

監督:野村芳太郎

松本清張サスペンス。サスペンスとしての恐さはほとんどない。子供の恐さをもっと強調してもよかったのかなあとは思うのだが、個人的にはこの映画はサスペンスよりも不倫映画として楽しめた。何より愛人役の岩下志麻が魅力的で、加藤剛がこの未亡人に溺れるのも無理がないとすら思えた。浴衣姿で鏡を見つめる岩下志麻が美しく、真面目なキャラゆえにちょっとしたエロさがたまらん。子供の殺意と自分の幼年期の殺意という過去の闇を結び付けるところに、松本清張らしさを感じた。しかしタイトルの意味はよくわからん。