チェンジリング

監督:クリント・イーストウッド

クリント・イーストウッドがこんな高いレベルの映画を余裕綽々で撮っていることに驚き、もはや映画の達人というか仙人だよ。1920年代のロサンゼルスの風景や脇役たちに余り有名俳優を揃えなかったことに、よりリアルな空気が出ていて、当時の時代にすんなりと入り込むことが出来た。当時の警察という巨大な権力に、不屈の精神で戦いを挑んだ女性を、アンジェリーナ・ジョリーが全身全霊で熱演して、久しぶりに実力を発揮していて、これもイーストウッドの力ということか。またジョリーだけでなく、脇役たちが皆いい芝居で、警察の悪事や殺人鬼の狂気を一層引き立てている。それとイーストウッドの音楽がいいんだよ。シンプルだけど味があって、深い余韻を残しながら終幕する。文句のつけようがない極上のシネマだ。