グッド・シェパード

監督:ロバート・デ・ニーロ

こんなに重厚で見応えのある映画を観たのは久しぶりだ。何かマーティン・スコセッシの映画を見ているような錯覚を覚えたが、監督がデニーロなのでスコセッシの影響が多く見られるのは当然か。まず話の運び方が上手い。現在と過去を交互に見せ現在のビデオテープの真相に除々に近づくような展開にしてサスペンスを持続させている。また過去はCIAの誕生からその活動を様々な要素を交えて描いている。そこには妻と息子の関係から過去の女、師の殺害、部下の裏切り、2重スパイとてんこ盛りで散漫になりがちな所だがそうならずデニーロの冷静な視線で一定のテンポを保ち全く退屈させない。これだけの内容を詰め込んだエリック・ロスの脚本が本当に素晴らしい。また役者もよくこんなきな臭い役者を集めたもんだとうれしくなる。特に女優陣が印象に残った。この映画は雰囲気や展開、そして孤独さや悲哀が「ゴッドファーザー」を彷彿とさせ長い映画だがずっと興奮されっぱなしだった。大傑作!