バスキア、10代最後のとき

監督:サラ・ドライヴァー

いやあサラ・ドライヴァー久しぶりにその名前聞いたわ。まあそれは置いといて、アーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアのドキュメンタリー。当時のニューヨークや関係者などの証言からなるごく普通のドキュメンタリーで何だか味気ない。彼自身の映像も少なく、人物像もそこまでよく分からん。彼の作品も正直落書きレベルにしか見えない。。。

太陽の塔

監督:関根光才

岡本太郎が1970年の大阪万博で制作した太陽の塔にまつわるドキュメンタリー。多角的に太陽の塔を考察し、かつ岡本太郎や芸術や日本の歴史、資本主義、原発など幅広く見つめ、最終的には日本とは日本人とはに迫る。なんか太陽の塔から随分と飛躍してるようにも思うが、結構壮大なテーマである。岡本太郎というと小さい頃は変なおじさんぐらいにしか思ってなかったが、こうやって彼の功績を改めて見ると、唯一無二な芸術家だったんだなと思う。結局太陽の塔とは何なのか。皆後付けのようにいろいろ議論してるが、何か語りたくなるところにその魅力や謎があるということなんだろう。人類の進歩と調和がテーマの万博で岡本はそれに反対した。そして今人類は退化し不調和な世界になっている。太陽の塔とは進歩も調和もそんな未来はやってこないという岡本太郎の皮肉なのかもしれない。

ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―

監督:米林宏昌、百瀬義行、山下明彦

カニーニカニーノ」「サムライエッグ」「透明人間」の3本の短編アニメ。制作はスタジオポノック。思ったよりは良かった。ただ3つで1時間弱なので物足りない。この中では一番有名な米林だが、出来は一番普通だった。「サムライエッグ」はたまごアレルギーの少年の話で意外といい。結構感情移入してしまった。「透明人間」は一番の出来。透明人間の重量が軽いのは意外に盲点というか、無かった発想でそのアイデアには驚いた。なんで消火器持ってんだよと違和感を持たせる演出もいい。これ長編で観たいと思った。全体的に悪くないのだが、もう一本ぐらいほしかったかな。

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

監督:ジャスティン・チャドウィック

チューリップバブルに沸いたオランダ。美しいものは人を狂わしそして儚い。まあチューリップは時代の背景部分であり、実際は宮廷物のような騙し合いの不倫劇。話自体はそこそこ面白いんだけど、正直キャストの魅力が弱い。アリシア・ヴィカンダー他それなりに豪華な脇役たちなのだが、どうも引きつけていない。若干物足りなさは感じるのだが、チューリップに免じてちょいおまけ。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

監督:クエンティン・タランティーノ

手放しで絶賛ではなかった。タランティーノ節はいつも通り。無駄に長い会話、無駄に長いシーン、相変わらずだがそこまでハマれず。ただ美術関連はいい仕事。あの時代の再現ぶりは見事。ディカプリオもよかった。あとマーガレット・クアリーが印象に残った。わき毛もね。マンソンファミリーやシャロン・テートが余り意味を成してるとは思えず、ちょっと長いなあ、このまま終われば普通かなあぐらいだったのだが、最後に大爆発。過剰な暴力と突き抜けた笑い、そして火炎放射器で一気に盛り返した。ただし鑑賞前はシャロン・テート事件を知ってた方がいい。詳しく知らなかったから本当の面白さを得られなかった。。。

運命は踊る

監督:サミュエル・マオズ

いやあ不思議な作品。息子の戦死の誤報はよかったのだが、そこから話は息子のいる国境近くの検問所に飛び、そこでの生活とは戦争とは程遠いもので、そのダラダラした展開にやや退屈さを感じた。しかしそこで誤って車の若者たちを皆殺しして、隠蔽して帰国。そして話は再び夫婦の話に戻るわけだが、どこか違和感が。この時系列のずれた感じがモヤモヤさせ、最後は悲劇的結末へ。この誤報から始まった物語がこんな皮肉な結末を迎えるなんて。象徴的な息子の絵やあの車の女性の顔が印象的だった。

悪党に粛清を

監督:クリスチャン・レヴリング

デンマーク産の西部劇。やはりどこか米とかマカロニとかとは違う空気。シンプルな復讐劇で、それでいい。無駄がなく単純なのはいいのだが、いまひとつ盛り上がりに欠く。ジェフリー・ディーン・モーガンの悪役はまあいいのだが、あっけない終わりで少々物足りなく感じた。またマッツ・ミケルセンだと異質さはあれど、男臭さがなく、からっとしすぎな気もした。嫌いじゃないけどね。。。