哀れなるものたち

監督:ヨルゴス・ランティモス

フランケンシュタインの成長。体は大人、脳は子どもの女性が旅を通じて精神的に大人になっていく。エマ・ストーンが体を張った熱演。本当に一人の赤子が成長する過程を見るようで凄い。ただ映画はおぞましい。セックス、傷跡、裸など生々しさはクローネンバーグ映画のようだった。まあクローネンバーグ好きだけど。終盤までは嫌悪感が強かったが、最後ある男の脳を入れ替えるその鬼畜ぶりは良かった。ラストの吠えるシーンは「籠の中の乙女」を思い出し、ああ紛れもなくランティモス映画だなあと実感した。

ヴィーガンズ・ハム

監督:ファブリス・エブエ

ヴィーガンズ・ハムって何かと思ったら人肉かい。肉屋夫婦がヴィーガンの人間を殺してしまい、その肉を売ったら美味しくて大ヒットしたというブラックコメディ。いろいろとモラルを無視したヤバい映画ではあるが、まあコメディなのでこれはこれで楽しかった。Vパワーはちょっとウケた。。。

もみの家

監督:坂本欣弘

当たり前のように学校に行っていたけど、そこになじめない人間もいる。結局学生時代って友達なのかなと思う。ひとりでもいると耐えれるかもしれないが、ひとりもいないとやはり厳しいのかな。話し相手がいない学校生活はきついと思う。不登校を受け入れるこの手の支援施設の存在は必要だし、こういう施設自体がもっと援助されればいい。同じ境遇だからこそ通じあうものもある。そして家族の愛にも気付ける。南沙良はもっと売れてもいいと思うんだけど。。。

エッシャー通りの赤いポスト

監督:園子温

園子温の原点回帰を見た。ワークショップだったり、無名役者を大量に使ってやりたい放題に暴れている。良くも悪くも過剰でパワフル。初期の無鉄砲さを感じた。ただオーディションが無駄に長い。終盤の撮影も長くこれで時間が長くなった。テーマはストレートでエキストラ。主役でなくエキストラに焦点を当てた作品。彼らだって彼らの人生があるということか。モーガン茉愛羅が意外に良かった。ただ園子温はプライベートがなあ。。。

マリア狂騒曲

監督:井土紀州

元カノ殺した男への復讐。井土紀州だから観た。死んだ元カノが幽霊で出たり、変な女マリアと共闘したりと話は割と面白かった。ただ吉岡睦雄がクセが強い。彼が出てるとどうしてもふざけた感じになってしまう。でもそのスルメみたいな個性が魅力でもある。もっとシリアスな作風にした方がよかった気はするが、まあこのコメディ調でもそれなりには楽しめた。ちょいおまけ。

その消失、

監督:狩野比

中盤まではあまりよろしくない。演出も演技もどこか素人臭い。ただ終盤からこの映画のやりたいことが見えてきて多少面白くはなった。やりようによってはもう少し面白くなった気はするが、やはり前半が足を引っ張っている。女優陣はいいけど男優陣が微妙だった。どこか「オールドボーイ」的なオチは嫌いじゃないのだが、これだと復讐になっていないのでは。自分自身への罰ってことなのか。。。

ショッカー

監督:ウェス・クレイヴン

80年代、そしてウェス・クレイヴンらしいホラー。思ったほど面白くなかったけど、設定とかは嫌いじゃない。次々に電波になって人に乗り移ったり、電波になってテレビの中に入り込んだりとアイデア自体は悪くないのだが、どこか滑稽で安っぽい作りに見えてしまうのが80年代。はっきり言っていろいろ設定がおかしいのだが、勢いで押し切ったバカホラー。